“地下鉄トンネルにおける塩害発生条件の検討”

〜コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集,第11巻,pp.147-154,2011年10月〜

東京地下鉄(株)山本 努

東京地下鉄(株)武藤 義彦

(株)国際建設技術研究所小椋 紀彦

(株)国際建設技術研究所葛目 和宏

東京工業大学大学院大即 信明

要旨:

東京地下鉄の河川下のトンネルでは場所によっては漏水中の塩化物イオン濃度が高く,既に塩害劣化の兆候がみられる区間や,将来の塩害劣化が懸念される区間がある.そこで,主に感潮河川下の箱形RCトンネル(建設後36〜55 年経過)を対象に,漏水状況・塩化物イオン濃度・かぶり・鉄筋腐食度等の現地調査・測定を行った.その結果,地下鉄トンネル環境下での実構造物における塩害腐食が顕著となる条件として,塩化物イオン濃度が概ね3.0kg/m3 以上ではないかと考察した.また,現地調査で得られたひび割れ(浮き)の発生する限界腐食量は既往推定式より十分大きいことが分かった.